徒然葉子〜つれづれようこ〜
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大阪在住 ふたご座 A型
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(最近は、読書記録を兼ねたブログ)

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2024/03/04
『たましひに着る服なくて』 米川千嘉子
[]
Made in Y (HPより)

・青色の病衣のなかに人は立ち病は賢者のごとく殖えたり

・父の家の障子張り替ふ裸なる棧はうつくし若き父見ゆ

・幼な日の石榴も葡萄も桃の木もなき庭に父の車椅子とどく

・父を支へて歩めば老人のにほひせり不機嫌に垂るる時間の匂ひ

・病む父と母が疲れて眠る家雨の中なににも喩へたくなし

そしてまた、この一冊には病む父が多く詠み込まれている。
いま、ここにいる年老いた父。
彼女が子どもだった頃の若々しい父。
彼女は、こうしたいわばふたりの父を見ている。
しかしまぎれもなく、目の前の父は病んでいる。

一首め。賢者はおそらく父のことだ。
病をこう比喩することによって、父を語る。
青色の病衣は、精悍な父を象徴している。
そうあって欲しいと願う娘の希求を素直に表出している。
二首め。裸なるのは父だ。その肉体は逞しく、美しい。
三首め。石榴、葡萄、桃。幼い頃の日々を彩った庭の木々。
どれも実を生らせるものだ。いまはこうした木々もない。
木々を通して、父を描きだす。
四首め。父に老人の匂いを感じる。
繊細とはいえ、いわば日常的な感覚だ。
しかし下句で、不機嫌に垂れる時間の匂いと言い換える。
この感性=理性が彼女のものだ。
五首め。彼女は、比喩がときに現実からの逃亡を
手伝うことを知っている。

ここにいる父と娘は、不思議な距離感を保っている。
いや、ふたり距離感というより、父の存在感のことだろうか。
父の輪郭は、病とともにくきやかに描かれている。
しかし、父はそこにはいない、そんな印象を受けるのだ。
子どもを素材にした作品と比べると明らかだ。
子どもは、まぎれもなくそこにいる。
おそらく彼女は、自覚していないだろう。
しかしそれが、かなしいほど確かな彼女の技術なのだと思う。

 子どもへ向かう相と父へ向かう相。しかしふたつは、
生/死といった単純なありよう−対比されるものとして意
味づけられているのではない。
彼女はこれらふたつの相を並置しながら、
それぞれの本質を記述しようとしている。
むろん、多くの人びとにとって通約可能なそれではない。
そしてそれは、彼女自身−その未知なる領域を
捉えようとする試みでもある。
そこでは、かけがえのない生を形づくるはずのさまざまな萌芽が、
彼女のことばによって捕獲されるのを待っている。
 そらいろの卵は、おそらくそこをめざして落ちていくのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
posted at 2024/03/04 21:35:35
lastupdate at 2024/03/04 21:35:35
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